- 石綿作業主任者の試験は難しいのか知りたい
- 現場の仕事が中心で、座学や試験は久しぶりなので不安
- 落ちる人はどんな人なのか、一発で合格するには何をすればいいのか知りたい
石綿作業主任者は、建物の解体や改修で、石綿(アスベスト)を含む建材を取り除く作業などに必要な国家資格です。
古い建物の解体や改修の工事は今後も多く、建設業や解体業では欠かせない資格になっています。
一方で、講習の最後には修了試験があり、合格しなければ資格は取れません。
「試験は難しいのか」「落ちる人はいるのか」が気になる方も多いと思います。
本ページでは、試験の難易度をほかの作業主任者講習と比べながら解説し、科目ごとのつまずきやすいポイント、落ちる人に多い特徴、一発で合格するための勉強法までまとめて紹介します。
石綿作業主任者の試験の難易度
結論から言うと、石綿作業主任者の試験は、講習をきちんと聞いていれば合格できる難易度です。
修了試験は講習で説明された内容から出題され、講師が「ここは大事」と強調したところが、そのまま問題になることも多いです。
ただし、国家資格である以上、合格点に届かなければ不合格になります。講習を聞き流していると、点数が足りないこともあります。
合格率は公表されていない
石綿作業主任者の修了試験について、国や講習機関がまとまった合格率を公表しているわけではありません。
インターネット上には「合格率は○%」と書かれた記事もありますが、根拠がはっきりしないものがほとんどです。
大切なのは、合格率の数字よりも「何が出るのか」を知っておくことです。
出題の範囲は講習のテキストの内容に限られているので、ポイントを押さえておけば合格点を取ることは難しくありません。
ほかの作業主任者講習との比較
| 講習 | 日数 | 実技 | 覚える量 |
|---|---|---|---|
| 石綿作業主任者 | 2日 | なし | 普通 |
| 有機溶剤作業主任者 | 2日 | なし | やや多い |
| 特定化学物質作業主任者 | 2日 | なし | 多い |
| 酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者 | 3日 | あり | 多い |
※日数は一般的な目安で、講習機関によって異なります。覚える量は当サイトの目安です。
石綿の講習は、扱う物質が「石綿」の1種類だけなので、多くの物質を覚える特定化学物質などと比べると、範囲は絞られています。
その代わり、建材のレベル分類や隔離、負圧など、現場の対策についての内容が多いのが特徴です。
科目別の難易度とつまずきやすいポイント
| 科目 | 講習時間 | 難易度 | つまずきやすいポイント |
|---|---|---|---|
| 健康障害及びその予防措置 | 2時間 | ★★☆ | 石綿の種類と色、病気の部位と潜伏期間 |
| 作業環境の改善方法 | 4時間 | ★★★ | レベル分類、隔離と負圧、廃棄物の扱い |
| 保護具 | 2時間 | ★☆☆ | 防じんマスクの区分、防毒マスクが使えない理由 |
| 関係法令 | 2時間 | ★★☆ | 記録の保存期間、作業主任者の職務 |
健康障害及びその予防措置(★★☆)
クリソタイル(白石綿)、アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)という石綿の種類と色の組み合わせや、石綿肺・肺がん・中皮腫といった病気の特徴が問われます。
とくに「中皮腫は胸膜や腹膜にできる」「潜伏期間は平均約40年」は定番です。
カタカナの名前が多いので、色とセットで覚えると記憶に残りやすくなります。
作業環境の改善方法(★★★)
講習時間がもっとも長く、出題数も多くなりやすい科目です。
レベル1は吹付け石綿、レベル2は保温材や耐火被覆材、レベル3は成形板という分類のほか、事前調査、隔離と負圧、湿潤化、廃棄物の梱包などが問われます。
現場で実際に行う対策の内容なので、「なぜその対策をするのか」という理由と一緒に覚えると、選択肢の言い回しが変わっても対応できます。
保護具(★☆☆)
「石綿には防毒マスクは使えない」「防じんマスクの区分は3がもっとも性能が高い」という大原則を押さえれば、多くの問題に答えられます。
4科目の中でもっとも点数を取りやすい科目なので、確実に得点源にしましょう。
関係法令(★★☆)
作業主任者の職務や、記録の保存期間がよく問われます。
石綿の法令は、病気の潜伏期間が長いことから、健康診断や作業の記録を40年間保存するという長い期間が決められているのが特徴です。
事前調査の記録だけは3年間なので、取り違えに注意しましょう。
試験が難しいと感じやすい3つの理由
カタカナの用語や専門用語が多い
クリソタイル、アモサイト、クロシドライトといった石綿の名前のほか、中皮腫、胸膜プラーク、負圧、セキュリティゾーンなど、普段の生活では聞かない言葉がたくさん出てきます。
言葉の意味をその場で理解しておかないと、講習の後半でついていけなくなります。
現場のやり方と試験の正解が違うことがある
現場経験が長い方ほど、「うちの現場ではこうしている」という感覚で答えてしまい、試験の正解とずれることがあります。
試験で問われるのは、法令やテキストに書かれた正しい手順です。現場の慣れではなく、講習で習った内容をもとに答えましょう。
講習が座学だけで、集中力が続かない
講習は2日間とも座学です。体を動かす仕事が中心の方にとっては、長時間座って話を聞くこと自体が大変に感じるかもしれません。
休憩時間に軽く体を動かしたり、昼食を食べすぎないようにしたりするだけでも、午後の眠気はかなり防げます。
修了試験の形式と合格基準
修了試験は、4つの選択肢から1つを選ぶ択一式が一般的で、試験時間は1時間ほどです。テキストやノートの持ち込みはできません。
合格するには、一般的に科目ごとに4割以上、全体で6割以上の得点が必要です。
たとえば各科目10問ずつ、全部で40問が出題される場合は、1科目につき4問以上、全体で24問以上の正解が必要という計算になります。
1科目でも4割を下回ると不合格になるので、苦手科目を作らないことが大切です。
講習2日間の流れ(一例)
講習の順番は講習機関によって異なりますが、たとえば以下のような流れで行われます。
| 日程 | 内容 |
|---|---|
| 1日目 | 健康障害及びその予防措置に関する知識、作業環境の改善方法に関する知識 |
| 2日目 | 保護具に関する知識、関係法令、修了試験 |
修了試験は2日目の最後に行われることが多いので、1日目に習った内容を2日目まで覚えておく必要があります。
1日目の夜に、テキストの線を引いたところを10分ほど見直しておくと、試験で思い出しやすくなります。
石綿作業主任者の試験に落ちる人の特徴
講習中に居眠りをしてしまう
座学だけの2日間なので、眠くなる方が少なくありません。
講師が試験に出るポイントを説明している時間に寝てしまうと、その分がそのまま失点につながります。
前日は夜更かしを避けて、十分に睡眠をとってから講習に臨みましょう。
数字をあいまいに覚えている
「健康診断は6か月以内ごと」「記録は40年保存」「事前調査の記録は3年保存」「点検は1か月を超えない期間ごと」など、石綿の試験には数字がたくさん出てきます。
なんとなくの記憶では、ほかの数字と入れ替えたひっかけ問題に引っかかってしまいます。数字はノートの1か所にまとめて覚えましょう。
苦手な科目を捨ててしまう
1科目でも4割を下回ると、合計点が足りていても不合格になります。
講習時間が2時間の科目は出題数も少ないため、数問間違えただけで4割を下回ることがあります。どの科目も油断しないようにしましょう。
問題文を最後まで読まない
「誤っているものを選べ」という問題で、正しい選択肢を選んでしまうミスはとても多いです。
問題文の「正しいもの」「誤っているもの」に線を引いてから選択肢を読むクセをつけましょう。
マークシートの記入ミス
解答欄が1つずれたまま最後までマークしてしまうと、大量に失点します。
時間には余裕があるので、マークする位置を確認しながら解き、最後に見直す時間をとりましょう。
不合格になった場合はどうなる?
不合格になった場合の扱いは、講習機関によって異なります。
追試験を受けられる講習機関もあれば、もう一度講習を受け直す必要がある講習機関もあります。
受け直しになると、受講料と2日間の日程がもう一度かかってしまいます。
また、多くの講習機関では、遅刻や途中退席、欠席があると修了できないとしています。
2日間の講習をすべて受けることが前提になる点も注意しておきましょう。
一発で合格するための勉強法
講習の前:過去問を1回解いておく
講習の前に過去問を1回解いておくと、講習中に「これは試験に出たところだ」とわかるようになります。
過去問を解くときは、正解したかどうかよりも、解説を読んで「なぜその答えになるのか」を確認することが大切です。
理由がわかっていれば、本番で問題の言い回しが変わっても対応できます。
講習中:講師が強調したところに印をつける
講師が「ここは大事」「よく出る」と言ったところには、テキストに印をつけておきましょう。
石綿の種類と色、建材のレベル、記録の保存期間などは、ノートの1か所にまとめて書いておくと、試験前の見直しが楽になります。
試験の直前:定番のポイントを見直す
■クリソタイル=白、アモサイト=茶、クロシドライト=青
■中皮腫は胸膜や腹膜にできる。潜伏期間は平均約40年
■レベル1=吹付け石綿、レベル2=保温材・耐火被覆材、レベル3=成形板
■負圧は、隔離した内部の気圧を低くして石綿を外に漏らさないため
■防毒マスクは石綿に使えない。防じんマスクの区分は3が最高
■健康診断と作業の記録は40年、事前調査の記録は3年保存
よくある質問
現場経験がなくても合格できますか?
合格できます。修了試験では、講習で説明された内容が問われるので、現場経験の有無は関係ありません。
むしろ、現場の慣れで答えてしまうミスがない分、テキストどおりに素直に覚えられる方もいます。
石綿の事前調査をするには、この資格で足りますか?
建築物の解体や改修の事前調査は、建築物石綿含有建材調査者などの、別の資格を持つ人が行う必要があります。
石綿作業主任者は、石綿を除去する作業などで作業者を指揮する立場の資格です。くわしくは以下の記事で解説しています。
修了証に有効期限はありますか?
技能講習の修了証には有効期限がなく、更新の手続きも不要です。修了証をなくした場合は、発行した講習機関で再交付の手続きができます。
まとめ
石綿作業主任者の試験は、講習をきちんと聞いていれば合格できる難易度です。
扱う物質は石綿の1種類だけですが、カタカナの用語や数字が多く、現場の慣れで答えるとひっかけ問題に引っかかることもあります。
講習の前に過去問で出題のポイントをつかみ、講習を集中して聞き、試験の直前に定番のポイントを見直す。
この3つを意識すれば、一発合格は十分に狙えます。
▼試験前の最終チェックはこちら
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