- 酸欠作業主任者の第一種と第二種、どちらを取ればいいかわからない
- 自分の現場が、どちらの作業にあたるのか知りたい
- 講習の日数、費用、申し込み方法、持ち物をまとめて知りたい
酸欠作業主任者の資格には、「酸素欠乏危険作業主任者(第一種)」と「酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者(第二種)」の2種類があります。
名前が似ているうえに、どちらも「酸素欠乏危険作業主任者」として選任されるため、どちらを受ければいいのか迷う方も多いです。
本ページでは、第一種と第二種の違いを表で整理したうえで、法令で決められている酸素欠乏危険場所の一覧、講習の内容と日程、費用の目安、申し込み方法、持ち物、特別教育との違いまでまとめて解説します。
酸欠作業主任者の第一種と第二種の違い
2つの資格の違いは、硫化水素中毒のおそれがある場所で作業できるかどうかです。
| 第一種 | 第二種 | |
|---|---|---|
| 講習の名前 | 酸素欠乏危険作業主任者技能講習 | 酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習 |
| 対象となる危険 | 酸素欠乏症 | 酸素欠乏症と硫化水素中毒 |
| 主な作業場所の例 | 井戸、たて坑、タンク、ボイラー、穀物のサイロ、冷凍庫など | 下水道、汚水槽、浄化槽、し尿やパルプ液を入れたタンク、海水が滞留した暗きょなど |
| 講習の日数の目安 | 2日程度 | 3日程度 |
| 実技講習 | 救急そ生、酸素濃度の測定 | 救急そ生、酸素と硫化水素の濃度の測定 |
| 担当できる作業 | 第一種の作業だけ | 第一種と第二種の両方 |
※日数は一般的な目安です。講習機関によって異なります。
第二種の講習を修了すれば、第一種の作業の作業主任者にもなれます。逆に、第一種の講習を修了しただけでは、第二種の作業の作業主任者にはなれません。
第二種ができた理由
もともと酸欠作業主任者は1種類でしたが、清掃業務などの現場で硫化水素中毒の事故が相次いだことから、昭和50年代後半に、硫化水素の対策まで担当できる第二種が設けられました。
硫化水素は、酸素が足りているように見える場所でも発生し、高濃度では臭いを感じなくなる危険なガスです。そのため、第二種では硫化水素の性質や濃度の測定方法まで学びます。
酸素欠乏危険場所とは?法令で決められている場所の一覧
作業主任者が必要になるのは、法令(労働安全衛生法施行令の別表第6)で「酸素欠乏危険場所」と決められている場所で作業するときです。主な場所を、わかりやすい言葉にまとめると以下のとおりです。
第二種の作業にあたる場所
硫化水素中毒のおそれもあるため、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者(第二種)が必要な場所です。
- 海水が滞留している、または滞留していた熱交換器、管、暗きょ、マンホール、ピットなどの内部
- し尿、腐泥、汚水、パルプ液など、腐敗・分解しやすいものを入れた、または入れたことのあるタンク、槽、管、暗きょ、マンホール、溝、ピットの内部
第一種の作業にあたる主な場所
酸素欠乏症のおそれがある場所です。第一種と第二種のどちらの講習の修了者でも作業主任者になれます。
- 特定の地層に接する井戸、たて坑、ずい道、ピットなどの内部
- 長い間使われていない井戸の内部
- ケーブルやガス管を通す暗きょ、マンホール、ピットの内部
- 雨水や河川の水が滞留している、または滞留していた槽、暗きょ、マンホール、ピットの内部
- 長い間密閉されていた鋼製のボイラー、タンク、反応塔、船倉などの内部
- 石炭、木材チップ、穀物、野菜、果物、飼料などを入れたタンク、サイロ、船倉などの内部
- しょうゆ、酒類、もろみ、酵母などを入れた、または入れたことのあるタンク、槽などの内部
- ドライアイスを使って冷凍・冷蔵している冷蔵庫、冷凍庫、保冷貨車などの内部
- 窒素などの不活性ガスを入れた、または入れたことのあるボイラー、タンク、反応塔などの内部
※法令の表現をわかりやすく言い換えた一覧です。正確な範囲は、法令の条文や講習機関・労働基準監督署に確認してください。
表を見るとわかるとおり、下水道や汚水槽、浄化槽、パルプ液を扱う現場は第二種です。建設業や設備のメンテナンス、ビル管理、清掃業などで、これらの場所に入る可能性がある方は、第二種が必要になります。
第一種と第二種、どちらを受けるべき?
自分の現場に第二種の場所が少しでも含まれるなら、迷わず第二種を選びましょう。
どちらの作業になるかわからない場合や、今後いろいろな現場に行く可能性がある場合も、第二種を取っておくと安心です。第二種のほうが講習の日数は1日ほど長くなりますが、1つの資格で両方の作業に対応できます。
迷ったときは、会社の安全担当者に、どの作業で必要になるのかを確認してから申し込みましょう。
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者(第二種)の講習内容
第二種の講習は、学科講習と実技講習で構成されていて、それぞれに修了試験があります。
学科講習の科目
| 科目 | 主な内容 |
|---|---|
| 酸素欠乏症、硫化水素中毒及び救急そ生に関する知識 | 酸素濃度ごとの症状、硫化水素の毒性、心肺蘇生とAED |
| 酸素欠乏及び硫化水素の発生の原因及び防止措置に関する知識 | 酸欠が起きる原因、硫化水素が発生する場所、換気と測定の方法 |
| 保護具に関する知識 | 空気呼吸器・酸素呼吸器・送気マスクのしくみと点検、墜落制止用器具 |
| 関係法令 | 酸素欠乏症等防止規則、労働安全衛生法などの決まり |
講習機関によっては、これらに加えて災害事例の説明に時間をとるところもあります。実際の事故の流れを知ると、法令のルールがなぜあるのかが理解しやすくなります。
実技講習の内容
■救急そ生の方法:人形を使った胸骨圧迫と人工呼吸、AEDの使い方
■酸素及び硫化水素の濃度の測定方法:測定器の点検、校正、測定の手順
日程の例
東京の講習機関では、学科講習を2日間行い、実技講習は別の日に1日(複数の日から選べる)という形で開催している例があります。
| 日程 | 内容 |
|---|---|
| 1日目 | 学科講習 |
| 2日目 | 学科講習、学科の修了試験 |
| 3日目 | 実技講習、実技の修了試験 |
3日間とも朝から夕方まで講習があるため、仕事の予定は3日分空けておく必要があります。
修了試験と合格基準
学科試験はマークシートの択一式が一般的で、科目ごとに4割以上、全体で6割以上の得点が合格の目安です。実技は、講習で練習した手順どおりにできるかを確認されます。
試験の難易度や落ちる人の特徴は、以下の記事でくわしく解説しています。
受講資格と費用の目安
受講資格
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者の技能講習は、実務経験などの受講資格がなくても受講できる講習機関が一般的です。ただし、年齢などの条件を設けている講習機関もあるため、申し込み先の案内を確認しましょう。
費用の目安
受講料は講習機関によって異なります。一例として、東京の講習機関では、日本赤十字社の救急法講習の修了者などを対象とした区分で、受講料が17,600円(税込・テキスト代別)、テキスト代が2,310円(税込)という案内がありました。
このように、救急法の講習をすでに修了している人は、救急そ生の一部が免除されて受講料が安くなる区分を設けている講習機関もあります。該当する方は、修了証を用意して申し込み先に確認しましょう。
会社の業務で必要な資格の場合は、受講料を会社が負担してくれることも多いので、申し込む前に確認しておくと安心です。
講習の申し込み方法
技能講習は、都道府県労働局に登録された講習機関(登録教習機関)が実施しています。各地の労働基準協会や、民間の教習所などが代表的です。
申し込みの大まかな流れは以下のとおりです。
■講習機関のホームページなどで、日程と会場を確認する
■受講申込書に必要事項を書き、写真を用意する
■受講料とテキスト代を振り込む(当日払いの講習機関もあります)
■受講票が届いたら、日程と持ち物を確認する
人気のある日程は早めに定員が埋まることがあります。とくに実技講習は定員が少ないことが多いので、余裕をもって申し込みましょう。
講習当日の持ち物
講習機関によって異なりますが、一般的には以下のものを準備します。
■受講票(受講案内)
■本人確認書類(運転免許証など)
■証明写真(修了証用。事前に提出する場合もあります)
■筆記用具(鉛筆またはシャープペンシル、消しゴム)
■受講料・テキスト代(当日払いの場合)
■救急法講習の修了証(免除を受ける場合)
実技講習では、床にひざをついて心肺蘇生の練習をするので、動きやすい服装で行くと安心です。必ず、申し込んだ講習機関の案内を確認してください。
酸欠作業主任者の仕事と選任
事業者は、酸素欠乏危険場所で作業を行うときに、技能講習の修了者の中から作業主任者を選び、以下の仕事をさせなければなりません。
■作業の方法を決めて、作業者を指揮する
■作業を始める前などに、酸素(第二種では硫化水素も)の濃度を測定する
■測定器具、換気装置、空気呼吸器などを点検する
■空気呼吸器などの使用状況を監視する
作業主任者は、現場で作業者の命を守る責任者です。資格を取ったあとも、現場に入る前の測定と換気を徹底することが大切です。
作業主任者の技能講習と特別教育の違い
酸素欠乏危険場所で作業する人には、作業主任者の技能講習とは別に、特別教育を受けさせることが決められています。
| 技能講習(作業主任者) | 特別教育(作業者) | |
|---|---|---|
| 対象 | 現場の責任者になる人 | 酸欠危険場所で作業する人 |
| 役割 | 作業方法の決定、指揮、測定、点検、監視 | 作業主任者の指示に従って安全に作業する |
| 修了試験 | あり | なし |
| 実施する人 | 登録教習機関 | 事業者(会社)や外部の講習機関 |
現場をまとめる立場になるなら技能講習、作業者として現場に入るなら特別教育、と覚えておきましょう。
よくある質問
第一種を持っています。第二種の現場で作業主任者になれますか?
なれません。第二種の作業の作業主任者は、酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習の修了者から選ぶ必要があります。第二種の場所で作業する予定がある場合は、第二種の講習を受けましょう。
修了証に有効期限はありますか?
有効期限はなく、更新の手続きも不要です。一度修了すれば、全国どこの現場でも作業主任者として選任されることができます。
修了証をなくしたら再発行できますか?
修了証を発行した講習機関で、再交付の手続きができます。講習機関がなくなっている場合は、別の機関が手続きを引き継いでいることがあるので、講習を受けた地域の労働局などに確認しましょう。
まとめ
酸欠作業主任者には第一種と第二種があり、第二種を取れば、硫化水素のおそれがある場所も含めて両方の作業に対応できます。下水道、汚水槽、浄化槽、パルプ液を扱う現場に入る可能性があるなら、第二種が必要です。
講習は3日間程度で、学科と実技を受けたあとに修了試験があります。覚える数字や決まりが多いので、講習の前に過去問で出題のポイントを確認しておくと、講習の内容が頭に入りやすくなります。
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