玉掛けの種類を知りたい人向けです。
この記事を読むことで、玉掛けの種類には全部で6つあり、代表的な4つの掛け方から禁止されている掛け方までわかります。
掛け方の代表的な4つは、以下のとおりです。
- 目掛け
- 半掛け
- あだ巻掛け
- 目通し
禁止されている掛け方は、1本つりと呼ばれます。
1本つりは、吊りにが回転しやすく、ワイヤーロープが抜けたり劣化するリスクがあるため、禁止されています。
玉掛けの目的や用途によって、掛け方を選んでいき、スリングも使い分ける必要があります。
それでは、玉掛の種類について、それぞれ具体的に解説していきます。
玉掛けの種類は全部で6つ
玉掛けの種類は、禁止されている掛け方をのぞくと、全部で6つです。
- 目掛け
- 半掛け
- あだ巻掛け
- 目通し
- くくり吊り
- あや掛け
その中でも代表的な『目掛』『あだ巻掛け』『目通し』『半掛け』の4つの掛け方について、それぞれくわしく解説してきます。
目掛け
目掛けとは、つり荷のつり金具などに、ワイヤーロープのアイをかける方法です。
長所としては、つり荷側につり金具があれば、容易にかけられることです。
また、製品や設備に使うことができれば、扱いやすくてとても便利といえます。
さらに、バランスの良い荷であると、最も適します。
短所としては、玉掛けワイヤーロープが緩むと外れる恐れがある点です。
吊り荷をかけるポイントとしては、吊り角度は、フックにかける方法により、半掛けは60度、目掛けは90度以内とします。
あだ巻掛け
あだ巻掛けとは、荷に玉掛け用のワイヤーロープを1回巻きつけて掛ける方法です。
長所としては、吊り角度によって内側に引き寄せられるワイヤーロープの滑りを防止するために、最も効果的な方法である点です。
特に長尺物には有効であるといえます。
短所としては、つり荷の下へ2回ワイヤーロープを通す必要があり、短いロープだと吊り角度が大きくなる点です。
吊り荷をかけるポイントとしては、ワイヤーロープが重ならないように掛けて、吊り角度は90度以内とすることです。
目通し(絞り)
玉掛け用のワイヤーロープで、荷を目通して絞る方法です。
絞り方は、一方のアイにロープを目通しするか、アイにシャックルを用いて絞ります。
長所としては、荷が絞り込まれることによって摩擦力が増すので、吊り荷とワイヤーロープの滑りを防止できる点です。
短所としては、深絞りの場合は、絞り部に大きな張力がかかってしまい、ワイヤーロープの強度が不足したり変形するリスクがある点です。
吊り荷をかけるポイントとしては、絞りが左右同方向では、つり荷が回転してしまうので、逆方向だとねじれることがある点に注意して下さい。
また、吊り角度は90度以内とすることが必要です。
半掛け
半掛けは、玉掛け用ワイヤーロープの中央部をフックに掛ける方法です。
長所としては、荷につり金具がある場合や重心の安定しているものに対して、最も適している点です。
短所としては、吊り荷の重心が片方に寄っていると、ロープがフック上で滑って危険であるため、適さない点です。
吊り荷をかけるポイントとしては、双方の張力が同じになるような吊り荷に適しており、吊り角度は60度以内とします。
1本つりは原則禁止
つり荷に目通し深絞りする1本つりは、次のような短所があるため、禁止されています。
- つり荷が水平方向に回転しやすくて危険
- ワイヤーロープのアイスプライスが巻き戻しの場合には、回転によって『より』が戻ってしまい抜ける恐れ
- ワイヤーロープが滑らないように目通し部を深絞りする必要があり、極度の折り曲げにより劣化を早める
現場によっては黙認される場合もありますが、可能な限り別の吊り方を考えるべきです。
まとめ
本記事では、玉掛けの種類について、代表的な4つから禁止されている吊り方まで解説しました。
玉掛けは、けっして単純な作業ではなく、荷の状況によって適切な掛け方を見極める必要があります。