ワイヤーロープの選定の注意点と、安全荷重の計算方法を知りたい人向けです。
この記事を読むことで、ワイヤーロープの概要についてわかり、選定する上での計算のやり方を理解できます。
ワイヤーロープは、吊り荷に応じて、適切なものを選ぶ必要があります。
太すぎるものを選ぶと、重たくて扱いが難しくなります。
反対に細すぎるのを選んでしまうと、吊り荷の重さに耐えられず切れてしまい、事故につながるリスクで出てきます。
適切なロープを選ぶためには、吊り荷の安全荷重を計算することが必要です。
本記事では、ワイヤーの選定について、計算方法と安全荷重を詳しく解説していきます。
ワイヤーロープとは
ワイヤーロープは、多数の鋼線をより合わせて構成されたものであり、柔軟かつ強靭です。
さらに、衝撃を吸収する役割も持っています。
同じ径のワイヤーロープでも、素線が補細く数の多いワイヤーロープほど柔軟性があります。
とはいえ、つり荷による荷重が定期的にかかるため、繰り返えし使われることにより材料が傷んでいきます。
そこでワイヤーロープが切断する荷重よりもひくい点で、基準として安全荷重を定めています。
安全荷重以上で使用しないようにルールを定めることで、玉掛け作業における安全を確保しています。
玉掛けのワイヤー選定の注意点
安全係数が6以上のものを選ぶ必要があります。
値は、玉掛け用具の種類や形状、材質、使用方法によって異なってきますが、安全規則に6以上であることが定められています。
加えて、安全荷重は最も大事な数値のひとつで、安全係数を考慮して1本のワイヤーロープで垂直につることができる最大の荷重です。
また、吊り角度についても注意が必要です。
吊り角度が大きくなると、吊り荷の重量が同じでも、ワイヤーにかかる力が強くなり、より径の大きなロープを使用する必要があります。
ワイヤー選定の計算のやり方
ますはじめに、1本あたりのワイヤーロープに必要な安全荷重を、掛け数と張力係数を用いて次の式で求めます。
1本あたりのワイヤーロープに必要な安全荷重
=(つり荷の質量/掛け数)✕張力係数
なお、張力係数とは、吊り角度により1本当たりの玉掛け用ワイヤーロープに作用する荷重を計算するための値です。
吊り角度による張力係数は、以下の表1のとおりです。
表1 吊り角度による張力係数
吊り角度 | 張力係数 |
0度 | 1.00 |
30度 | 1.04 |
60度 | 1.16 |
90度 | 1.41 |
120度 | 2.00 |
4本4点吊りの場合のワイヤーの選定例
上図において、吊り角度が40度で質量8トンの荷を、4本4点吊りときのワイヤーの選定をします。
*ワイヤーロープは「6✕24 A種」として、安全係数は6とします。
○回答例
掛け数は、4本4点吊りの場合は、ワイヤーロープの張力が均等になりにくいため。3本3点吊りとして3本で計算します。
張力係数については、つり角度が30度を超えているので、表1の『つり角度60度』の11.16を用います。
安全荷重=(つり荷の荷重/掛け数)✕張力係数
=(8/3)✕1.16=3.09t
表2から、基本安全荷重が3.09t以上の径の20mmを選定します。
表2 ワイヤーロープの基本安全荷重
公称径 (mm) | 6✕24 A種 (t) |
10 | 0.837 |
12 | 1.20 |
14 | 1.64 |
16 | 2.14 |
18 | 2.71 |
20 | 3.34 |
まとめ
本記事では、ワイヤーの安全荷重と玉掛をする上での選定方法を解説しました。
選定の計算をするためには、まずはじめに張力係数を表からもとめて、つり荷の質量と掛け数から基本安全荷重を算出します。
値がわかったら、ワイヤーロープの基本安全荷重の表を参考にして、径を求めます。
この記事を参考にしてもらえたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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